
先に白状しておくと、タイトルの「10倍」は盛った。正確に言うなら「体感3倍くらい」だと思う。でも「英語からスペイン語を学ぶと、日本語から学ぶよりずっと楽」というのは、誇張抜きで本当だ。今日はその理由を、実際に両方やってみた人間の視点で書いてみる。
そもそもの発端
Duolingoでスペイン語をやり始めたとき、最初は日本語インターフェースのまま突っ込んでいった。単語を日本語訳で覚え、文法の説明も日本語で読む。それなりに進んだけど、正直、覚えるそばから抜けていく感覚があった。
前に書いた記事(76番)で、Duolingoの表示言語を英語に切り替える話をしたと思う。あれをスペイン語の学習でもやってみたら、明らかに何かが違った。「あ、これ日本語でやってたときより頭に入ってくる速度が違う」と、体感レベルではっきりわかった。
なぜなのか、少し整理してみたい。
理由①:単語がほぼ「そのまま」通じる
これが一番大きい。英語とスペイン語は、どちらもラテン語をルーツに持つ単語をたくさん共有している。
例えば「information」は「información」。「nation」は「nación」。「important」は「importante」。発音もスペルも、ほぼそのままだ。日本語で「情報」「国家」「重要な」と暗記するのとは、記憶への定着の仕方がまるで違う。
日本語訳を経由すると、頭の中に「スペイン語→日本語」という変換ステップが一段入る。でも英語ベースだと、「スペイン語→英語」の変換がほとんど”変換”と呼べないレベルで軽い。もはやスペルの微調整に近い。これが積み重なると、単語を覚える負荷が体感でかなり減る。
もちろん、全部の単語がこう都合よくいくわけじゃない。「house」と「casa」みたいに、ラテン語ルーツじゃない基本語彙は普通に別物として覚える必要がある。そのあたりは正直、日本語で覚えるのと苦労は変わらない。

理由②:文法の「発想」が近い
これは単語より地味だけど、実はもっと重要かもしれない。
英語もスペイン語も、主語→動詞→目的語という基本語順を持つ。日本語は主語→目的語→動詞。この語順の違いだけで、文を組み立てるときの「思考の型」がまるで変わってくる。
日本語脳でスペイン語の文を組み立てようとすると、一度日本語の語順で考えてから、それをスペイン語の語順に並べ替える、という余計な作業が発生する。でも英語脳で考えると、語順の並べ替えがほとんど要らない。英語の文をそのままスペイン語の単語に置き換えていく感覚に近い。
これに気づいたとき、「あ、今まで自分は日本語というOSの上でスペイン語を無理やり動かそうとしていたんだな」と妙に納得した。英語というOSの上で動かすほうが、そもそも相性がいいのだ。
理由③:説明を読む労力が減る
Duolingoでもそうだし、YouTubeの学習系動画でもそうなんだけど、スペイン語の文法解説って、英語話者向けのコンテンツの方が圧倒的に量が多い。
「なぜここで接続法を使うのか」みたいな説明を探すとき、日本語の情報はそこまで多くない。でも英語で検索すると、驚くほど詳しい解説記事や動画がゴロゴロ出てくる。しかもその説明が、さっき書いた「文法の発想が近い」という理由もあって、すんなり理解できる。
情報量と理解のしやすさ、両方で英語ベースの方に軍配が上がる。これは正直、日本語話者としてちょっと悔しい部分でもある。
じゃあ日本語はもう要らないのか、というとそうでもない
ここまで英語ベースを持ち上げてきたけど、一つだけ正直に書いておきたいことがある。
母語である日本語には、英語にはない強みもある。例えば、ニュアンスの機微を捉える感覚とか、そもそも「なぜこの表現がしっくりこないのか」を言語化する力とか、そういうのは日本語で考えたほうが早いこともある。
だから僕は、完全に日本語を捨てているわけじゃない。基本は英語ベースで進めつつ、どうしても腑に落ちないところだけ、日本語で調べ直す。そのくらいのバランスでやっている。
まとめると
英語からスペイン語を学ぶのが楽な理由は、単語の共通性、文法発想の近さ、そして情報量の多さ、この3つに集約される。「10倍」は言い過ぎだったかもしれないけど、少なくとも「同じ労力で3倍くらい進める」という感覚は、誇張じゃなく本当にある。
英語を、スペイン語という新しい世界への「踏み台」として使う。この連載でずっと書いてきたことが、スペイン語学習で一番わかりやすい形で証明された気がしている。


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